「中野の保育を考える会」ニュース

2002.1.20(日)6
発行:『中野の保育を考える会』
発行責任者: 横塚美幸


あけましておめでとうございます

「中野の保育を考える会」結成から半年、たくさんの方々に会を支えていただき、ありがとうございました。新年のごあいさつとともに、半年の歩みをふり返りたいと思います。


【考える会の広がり】

中野区の37公・私立保育園のうち、16園の保育園父母の方々を集めて結成後、入会する父母会や個人の方を増やし、現在30園の保育園父母会・父母有志・個人(父母会のない保育園も多くあります)の方々と連絡が取れるようになりました。個人会員登録の方々も100人を越えようとしています。

「父母会があってもイベント中心で、保育園の行く末や保育行政のことまで広がらない」「父母会がないので、考える会のチラシをわたすにも一苦労」などの悩みも抱えながらですが、今保育園に子どもをあずけている父母のリアルな声、地域で子育てを見守る方々の声を、広く集めて保育行政に届けることができるようになってきたのは、大きな一歩です。

実際の活動は、月に1度の全体会を中心に、必用に応じて幹事会や拡大幹事会をしながらすすめていますが、大事な活動方針の「交流・親睦」は、区や区議会に対してのアクションが目白押しの中で、取り組むのが難しく悩みどころです。3月に取り組む予定の「保育園ってどんなとこ?」の企画を皮切りに、少しずつ取り組めると良いと思います。


【情報交換・ミニ学習】

保育園や保育行政に対する情報や知識の差を埋めて、みんなで手つなぎできる一致点を作るために、情報交換やミニ学習を大事にしてきました。全体会の中ではもちろんですが、白鷺保育園父母有志、大和保育園父母会では、独自に会の幹事を交えてのミニ学習も行われました。「いろいろな考え方や意見があってまとまらない」時、情報交換やミニ学習が生きます。今後も父母会総会・役員会・有志の会などに、幹事を気軽に呼んでください。

また、私たちの求める保育園・保育行政のイメージを打ち出していくために、アンケートも行うことにしています。たくさんの方々の声と思いを吸い上げ、また皆さんへ返していきたいと思います。よろしくお願いします。


【区に充分な説明を求める取り組み】

廃園・民営化を含む保育行政の大転換を、区は父母宛通知と対象園父母への説明会だけ乗り切ろうとしてきました。考える会では準備会の時も含め、「全園保護者への説明会の申し入れ」「保育課長との対話集会の申し入れ」などを4度行いました。

こうした中、8月末の地域説明会、10月末の保育園保護者向け説明会が行われ、「民営化によって職員配置の基準が下がるので、民営化にならない保育園でも、今までどおりの職員配置というわけにはいかない」という区の本音がようやく出てきました。その後、学童保育の民営化も打ち出され、保育の民営化は民営化対象園だけの問題でなく、中野の保育に関わる人みんなの問題だということがわかってきました。


【民営化対象園のサポート】

民営化対象園として第1号にあげられた野方北保育園の父母の皆さんは、議会に陳情を出して何千もの署名を集める活動を繰り広げました。考える会ではこの陳情署名を広げるよびかけをしました。10月には、みなみ保育園・あけぼの保育園・大和北保育園の3対象園が発表され、あけぼの保育園、みなみ保育園では、父母主催の学習会に取り組み、考える会では情報や学習資料を提供しています。今後各対象園独自、対象園共通での取り組みの呼びかけがあるかもしれません。ぜひご協力お願いします。


【民営化事業者選考に対する取り組み】

中野の民営化事業者選考は、選考基準作りにも選考委員にも、住民代表はおろか学識経験者すらも入れないで進められています。考える会では、区に説明を求めるのみでは不十分と考え、10月議会に「民営化に父母・住民の声を反映させる仕組みを作ってほしい」という陳情を出しました。現在もこの陳情は継続中で、7000名を超える方々の個人賛同署名、23団体の賛同団体をさらに広げながら、3月議会でもう一押ししていきたいと思っています。


【中野基準を大事にする取り組み】

日本は職員配置などの保育条件のもとになる「最低基準」があまりにも低い(例:「4歳以上は30人に一人の保育士」など)ので、国の最低基準ではまともな保育ができない、と保育に関わる父母・住民・職員のみなさんが、何年も何十年も取り組んで、各自治体に予算の加算をさせてきました。東京には「都基準」といわれる保育条件ができ、さらに中野の公立保育園には、中野区独自の加算で「中野基準」が作られてきたのです。

しかし、私立保育園に対しては同じ加算措置がなされず、私立保育園と公立保育園の保育条件の格差が是正されないまま経過していたようです。「公立保育園を私立保育園に転換しただけで年間7000万円の経費削減」というからくりはここにあります。

野方北保育園では、民営化の1年延期と引き換えに事業者募集がはじめられたので、考える会では、現行の中野基準を生かした「民営化事業者選定への提言」を練り上げ、区長、担当部課長、公立各園長、議会各会派、保育関係団体、そして区が募集書類を送付する都内の社会福祉法人300あまりに、提言を送付しました。区内の関係者だけでなく、中野の動向に注目する保育関係者、社会福祉法人理事者からも反響がありました。

さらに、「中野の保育水準を守りたい」という思いをともにする、公立保育園職員の皆さんの組合(中野区職員労働組合保育園部会)との懇談会ができるようになったことも、大きな大きな成果です。まだ情報交換、意見交換の段階ですが、子どもを守る大きな輪が、さらに広がっていくよう、粘り強く一致点を見つけていきたいと思っています。

引き続き今年も、厳しい寒風の吹き付けそうな中野の保育ですが、子どもたちを守る大人の手つなぎの広がりを大事にしながら、春風を呼び込みたいと思います。

みなさん、今年もよろしくお願いします。


【署名活動と議会陳情について】

  1. 陳情
  2. 中野の保育を考える会結成以来、民営化対象園だけではなく区内の全保育園への説明会を求めて、要望書を提出などと行政へ働きかけをしてきましたが、いつまでも納得のいく返事をもらえず、陳情を提出することになったのが9月です。

  3. 陳情書と署名活動の経過
  4. <陳情の経過>署名数の経過
    2001年
    西鷺宮有志により上鷺宮保育園民営化の陳情・野方北父母会有志により野方北保育園の民営化の陳情
    8月末
    4日に渡り地域向け保育園民営化説明会開催される←これを受けて、
    8月28日
    「全保育園保護者向けの説明会を」の申し入れを考える会から提出→返答なし
     
    9月6日
    区から野方北へ1年延期。条例改正の報告
     
    10月5日
    中野の保育を考える会より
    野方北保育園の事業者選定の陳情および話し合いの仕組み要望の陳情宮園保育園父母会も同陳情を提出
    (八千代市保育園父母会連絡会のかたなど他地域からの署名多数集まる)
    11団体
    4029筆
    +
    1団体
    (計12団体
    4029 筆)
    10月10日
    17団体
    4029筆
    10月11日
    全保育園保護者向けの説明会をの申し入れの回答:
    「10月末に全園保護者及び区民対象の説明会を開催する予定で準備中」
    →(なぜ、同月の日程がまだ決まらないのかかなり疑問)
     
    10月15日、16日、17日
    議会陳情審議
    →残り3園の発表(大和北、あけぼの、みなみ)
    審議は、主旨2(野方北関連)が「みなし不採択」
    主旨1(話し合いの仕組)が継続審議
    22団体
    4514筆
    (民営化該当園の署名活動活発化する)
    10月28日、31日
    区主催の全園説明会の開催
     
    11月8日
    継続審査
    →西鷺宮保育園有志の審査・野方北保育園を守る会の審査
    22団体
    6244筆
    12月4日、5日
    議会陳情審議
     

  5. 署名と継続審議
  6. <署名>

    署名は、陳情書に添付する形で議会に提出します。議会開催中は署名の積み上げ(追加提出)が可能です。審議が継続になった場合は、さらに継続中は積み上げが可能で、継続になればなるほど署名活動の期間は増えます。

    <議会の不思議用語>

    継続審議とは何なのでしょうか。審議の結果には、「採択」「継続」「不採択」(あと審議不要で「みなし不採択」というのもある)とあり、「不採択」は、陳情では最悪の選択となるそうです。

    「継続」は、継続して議論すべきの意味もあるが、採択ではないが、不採択でもないというあいまいさがあり、また陳情者にとってはいつまでも結論が出ず、陳情内容と現状とのずれが生じて最初の要望のまま陳情を続けにくい状況になり兼ねない。

    <署名は効果があるか?>

    継続となった場合、次の定例議会に持ち越しになります。その間署名の数は増加します。署名数が一定数(一般に1万筆以上らしい)を越えると、議会でもその数を無視することが出来ない自体となります。今回の12月議会でも、以前の議会のときとは議員の対応が違っていたのは署名が大きく影響していたからだと考えられます。

3月議会での審議は、今回の陳情の正念場となると思います。

傍聴、さらなる署名活動をお願いします。


【民営化該当園の動き】

大和北保育園

大和北保育園では民営化発表後、父母会でアンケートを取りましたが、父母それぞれの認識のばらつきがあるようです。

今の段階ではまだ「想像がつかない」といったところでしょうか?

父母に「焦り」は確かにありますが、区側の「決定ではない部分は検討します」という言葉にホッとしてしまっている方もあれば、私のように学校に通わせている親は「給食の民間委託、交通安全指導員の廃止」など、区側が「子どもの育つ環境からも予算を削減している」実態を知っており、「サービス重視で民営化する」かのような説明に、本当に腹を立てていらっしゃる方もいます。

他の対象園では、民営化のメリットデ・メリットをしっかり学習してから、説明会にのぞまれているようなので、大和北保育園でもそうした事が必要かもしれません。

あけぼの保育園

あけぼの保育園父母会では、民営化に対して、該当園になるまでは、「野方北保育園を守る会」の陳情署名に取り組んだり、「中野の保育を考える会」の陳情署名に取り組んだりと、「協力」の形で進めてきましたが、10月に該当園となってからは、みずから学び、広く声を集め、父母が手をつないで進めていける形を、懸命に模索してきました。

園名発表後早速、区側の説明前に、「中野の保育を考える会」の幹事を交えて、「民営化問題Q&A」の勉強会をしました。

区に対し、説明会の議事録を繰り返し要望しながら、父母会としてのアンケートにも取り組みました。

アンケートではこの問題に対し、保護者の方々が色々な意見をお持ちであることが分かりました。

野方北保育園での教訓に学びながら、父母会の中に「民営化対策担当」(仮)を位置付けていく方向で動いていますので、今後父母の皆さんの様々なご意見を「子どもたちが安心して過ごせる園を維持していく」方向でまとめ、反映させていきたいと思います。

みなみ保育園

『みなみ保育園は平成16年度に民営化することが決まりました』私達保護者が突然この手紙を受け取ったのは、10月19日の事でした。

「え、なに?民営化ってどういうこと?子供達はどうなっちゃうの?」保護者に広がったものは、当事者になって初めて感じる不安と不信感でした。

1年ほど前に素案で、保育園の民営化計画は知らされていたはず…なのですが、そこはやはり他人事のような気持ちで受けとっていた人がほとんど。どうしても「内容の良くわからないものを突然、一方的に決められた」という戸惑いが強く感じられたのでした。

その1週間後の26日、全世帯の7割以上が集まり、第1回の説明会が開かれました。

中には、自分の子供は卒園するけれど、長くお世話になったみなみ保育園の姿が変わってしまうのは許せない…と参加された方々もいました。

子どもの環境をまず第1に守りたい、という思い。これはどの保護者にとっても不変のものなのです。

説明会は、「なぜ民営化するのか」「子供達にはどういった影響があるのか」という事に対して納得の行く説明を求める私達保護者と、とにかく決まった事だから理解してくれ、と言う保育課の言い分で、すれ違いも多く、結局予定の時間を大幅にoverしても平行線のまま次回へ持ち越しとなりました。

その後、第2回の説明会が12月7日に行なわれましたが、ここでも私達保護者の不安を払拭する話し合いにはなりませんでした。

民営化そのものの是非を考える前に、納得の行く説明をしない(できない)保育課に対する不信感が、とにかく強くなっているのです。

2月頃には第3回目の話し合いが、開かれる予定ですが、「どうしたら子供達の環境を守ることができるのか…私達はその思いを忘れずに、何度でも納得がいくまで、保育課に説明を求めるつもりでいます。


【継続の活動・今後の活動】

中野区職員労働組合(区職労)との懇談

2001年12月5日、2回目の懇談会を持ちました。

区職労から、1週間で約6500筆(最終的には7000筆を越えた)の署名を集める事ができ、ご協力に感謝しますとのことでした。

おおむね、好意的な反応が多かったそうが、もっと早く取り組んで欲しかった等の声も聞かれたそうです。

考える会としては、今後も定期的に、このような意見・情報交換をしていきたいと申し入れました。

「よい保育を考えるアンケート」

2002年1月20日より、約1ヶ月間「よい保育を考えるアンケート」に取り組みます。

この間、中野区の保育課の説明に「保育ニーズが多様化している」等の発言が多く聞かれますが、中野区の最新の父母への意識調査は昭和56年のものだそうです。

「私たち父母の求める保育ニーズとは・・・?」を考える材料として、私たちの手でアンケートを行なう事にしたいと思います。

ご協力お願いいたします。

各保育園の父母会(父母会のないところは、連絡の取れる方から)を通して、アンケートを配布させていただきます。

アンケート収集最終締め切りは、2月17日の全体会(予定)に持ち寄っていただく事になりますが、それぞれの父母会の締め切りはご確認ください。

幹事宛て郵送してくださっても結構です。

*この集計結果は、区や議会の働きかけに生かしていきたいと思っています*

「保育園ってどんなとこ?」企画

初めて保育園へはいる時、どんな気持ちでしたか?

わからないことだらけで、不安だったのではないでしょうか・・・?

○○年度から民営化になる園・・ということを保育課は説明してくれるのでしょうか。

私たち『中野の保育を考える会』の目的の中に、子育て仲間の輪をひろげるということもあります。

新しく(保育園)仲間になる方に、保育園に興味のある方に、保育園のことを知ってもらおう・・という企画です。

ぜひ、ご参加ください。

先輩母としてこんなことを工夫している・こんな事が大変だった・・ということを情報交換したいと思います。

2002年3月17日(日)AM  女性会館にて

【メーリングリストについて】

中野の保育を考える会では「情報共有」、「会員間相互交流」などの目的で10月頃からメーリングリストを始めました。

1月1日現在で約50名の方が参加されています。メーリングリストにこれまで流れたメールは、「ニュース、全体会のお知らせ等」、「陳情、区民委員会情報等」、「区の民営化説明会情報関連」、「該当園での動き」、「他自治体の情報、保育行政全般」、区内保育園父母会情報、雑談、etc…といった感じ。

メーリングリスト開始から12月末までのメール数が213件。1日に3〜4通のメールがやりとりされています。メーリングリストというのは情報の流れという観点からみると、とても情報伝達速度の早い媒体ですのでどうしてもメーリングリストに入っている人とそうでない人の間で情報格差が出てきてしまいます。

そこで、幹事の間では以下のルールを決めて運営されています。

区民委員会や説明会の情報などは聞きに行った複数の方々から生の声がメーリングリストに送られてきます。そういった、生の情報を即座に聞けるところがメーリングリストの良いところでもあります。

興味がある方はnhoiku@eqg.orgまで御一報ください。


お願い

「中野の保育を考える会」では、今までいろいろな活動をしてきました。

そのため・・・資金不足になってきています。

皆さまからの、あたたかいカンパ(お金・切手・印刷用の紙・封筒etc・・)をつのっております。ぜひ、お近くの幹事まで、お寄せください。


次回全体会のお知らせ

    日時
    2002年2月17日(日) AM10:00〜
    場所
    中野ZERO